(その1)(その2)(その3)(その4)(最終予想)の続編です。
テレビをほとんど観ない私が、これほど真剣にテレビドラマを観たのは初めてかもしれません。それほどこのドラマに熱中した理由は、物語のスケールが大きくかつ構成が緻密で、「これからどうなっていくのだろう」とワクワクしながら楽しめたからと、そして何よりも物語に込められたテーマが強く心に響いたからです。さらに付け加えると、半年前に「A long time ago…」というナレーションで始まったこのドラマは、実は「Hinata’s Sunny Side English」というラジオ講座のなかの物語だったという壮大なメタフィクション構造に気づいた時の驚きも大きかったです。
まずは予想の当たり外れの結果から。
(その1)から(最終予想)までいろいろな予想をしましたが、「安子はすでに亡くなっている説」は見事に外れました。「るい編」のキャッチコピー「あなたがいたから私です」が「いたから」と過去形になっているのが最大の根拠でしたが、やっぱり物語が盛り上がるためには再開シーンが必要でした。「安子はアメリカで歌手になっていた説」も外れました。上白石さんの英会話力と歌唱力から考えて間違いないと思っていましたが残念でした。AIが歌う主題歌「アルデバラン」の歌詞に「君と私は仲良くなれるかな この世界が終わるその前に」とあることから、1999年7月には安子とるいは和解できると予想しましたが、もう少し遅くなりました。ただ、1999年7月に安子とひなたが出会って和解の糸口ができたので、半分正解と言えるのではないでしょうか。第100話までの情報をもとに書いた(最終予想)では条映映画村に安子の孫がやってくると予想しましたが、まさか安子本人がやってくるとは思いませんでした。再会のきっかけを作ったのはひなたの英会話力と「あんこのおまじない」だった点は当たりました。最終的に、ひなたは「国連のような国際的な機関で活躍しているか、あるいは平川唯一さんのように英語講座の先生になっているのかもしれません」と予測しましたが、後者がばっちり当たりました。また、「侍のように凛として 弱音を吐かず こうと決めたことは命懸けでやり遂げる そういうものに私はなりたい」という願いもしっかり叶ったと思います。
「ひなたと文ちゃんは結婚して男の子が生まれる」という予想を【追記】で女の子が生まれるに変更しましたが、2025年時点では誰とも結婚していませんでした。「ひなた編」のキャッチコピーが「バトンを渡して、わたしは生きる」なので、きっと子供にバトンを渡しているのだろうと、さらに2022年にひなたが帰国して関空からるいに電話をした時に、るいが「東京に帰るの?、京都に帰るの?」と聞いたので、きっと東京には家族が待つ家があるのだなと思っていました。そして、ひなたの娘役として上白石さんが再登場すればビッグサプライズだと期待したのですが、それは深読みしすぎでした。いずれにしても、これからひなたとビリーが一緒に日向の道を歩いていけることを願います。
それでは、心に響いたフレーズをいくつか挙げていきたいと思います。
「それでも人生は続いていく」
この物語では、登場人物が抱える困難が克服されるまでに長い長い時間がかかっています。安子とるいが壮絶な別れ方をしてから再会するまでに、実に52年の月日が流れました。算太が開業資金を持ち逃げしてから、るいと再会して通帳を返すまで36年が経過しました。ジョーがトランペットを吹けなくなってからピアニストとして音楽活動を再開するまでに30年かかりました。ひなたが初恋の相手ビリーに出会ってから、再会し、あの時のビリーだと気づくまでに49年かかりました。人生には苦難が多くて、課題は簡単には解決しないけれど、それでも人生は続いていきます。だからこそ、途中であきらめないことが大切なのだと思います。
「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」
機会はいつやってくるかわからないし、たとえやってきてもその機会をうまく活かして自分のものにできるかどうかはわかりません。だからこそ、日々鍛錬しいつ来るともわからぬ機会に備えることに意味があり、そこから大きな飛躍が生まれるかもしれません。ロバートが安子に、そして安子がひなたに言った「英語の勉強。これからも続けてください。きっとあなたをどこか、思いもよらない場所まで連れていってくれますよ」は、「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」とまったく同じ意味です。
もう一つ、このドラマが気づかせてくれたことは、両親や祖父母にも自分が知らないそれぞれ人生の物語があったということです。これは私自身にとっても新たな視点でしたが、両親ともすでに亡くなっているのでもう聞くことはできません。
最後に、今世界各地で戦争や紛争が起きていますが、「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも、自由に聞ける。自由に演奏できる」そんな世の中でありますように。
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