(その1)では生酛と山廃について書きましたが、これは本醸造クラスのお酒の品質が向上したという話で、大吟醸の品質はまた別の次元の話になります。
大吟醸という特定名称ができたのは比較的最近のことです。もともとは、国税庁(現:独立行政法人酒類総合研究所)の全国新酒鑑評会に出品するために、採算を度外視して、蔵と杜氏の名誉をかけて造っていた特別なお酒でした。売るために造るお酒ではないので、出品した残りは特級酒に混ぜたりしていたそうです。これを、「大吟醸」と銘打って、超高級なお酒として市場に出したところ受け入れられたのが始まりです。
吟醸造りにはいくつかのポイントがあります。
1)酒造好適米を使用
2)高い精米歩留まり
3)吟醸酒用酵母を使用
4)長期低温発酵
これを極限まで突き詰めたのが「YK35」で、具体的には「山田錦・協会9号酵母・精米歩留まり35%」の組み合わせです。ただ、「YK35」までしなくても十分美味しい大吟醸ができるので、「YK35」は高く売るための手段のような感じがします。
大吟醸はこういうとてつもないお酒なので、なかには4合瓶で5,000円といったすごい値段のものもあります。さらにこれを数年保存し、「古酒」として付加価値を高めたものもあります。ただ日本酒の場合は、経年劣化の悪影響のほうが大きいので、せっかくの大吟醸は新しいうちに飲む方がリスクが少ないと思われます。
“日本酒の話(その2) 「YK35」” への6件の返信
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醸造酒は鮮度が命ですからね。ワインなど古いものがもてはやされる傾向がありますが、私に言わせればあれは葡萄の当たり年があるからだと思います。もし葡萄が毎年品質が同一ならば、やはりしぼりたてが美味いはず。泡盛などの蒸留酒と違い、限られた賞味期間だからこそ、また価値があるのでしょうねえ。
私も何回か、大吟醸を自宅の冷蔵庫で長期保存したことがありますが、後悔したことのほうが多かったです。
そろそろ、ひやおろしが出てきますから、また日本酒が楽しめる季節に
なってきました。。。
ひやおろし、いいですねえ。
あ、いかんいかん、また贅沢な飲み方をしてしまいそうです。
同じ大吟醸でも、銘柄によって値段が違うのはどうしてなんでしょう?
同じ蔵元でも、何種類か出していて、それぞれ説明を聞いてもわかりません。
味の好みもありますが、値段が高いものが必ずしも美味い酒とは限らず・・・・
それだけにいろいろと飲んでみたくもなります。
同じ大吟醸でも、次のような要素で価格が大きく変わります。
1)精米歩留まり(米を磨いてあるほど高い)
2)酒米(山田錦は高いようである)
3)上槽(醪自動圧搾機・槽搾り・袋吊りなどの方法があり、醪を無理に搾っていないほど高い)
4)古酒かどうか(古酒は高い)
「大吟醸」にもピンからキリまであるというのが実態で、基本的に歩留まりが悪くなるような造り方をすると、高いけれど美味しくなる(はず)なのです。