iBasso D5 HjとHP−P1を聴き比べました。両機の大きな違いは、iBasso D5 HjがiPodからアナログ信号を受け取るのに対して、HP-P1はデジタル信号のまま受け取って、HP-P1側でD/A変換します。HP-P1のD/Aコンバーターは旭化成エレクトロニクスの”AK4480“という高級な回路なので、これが音質の大きな差になって表れます。さらに、HP-P1ではシャープロールオフ・フィルターとミニマムディレイ・フィルターの2種類のデジタルフィルターをスイッチで切り替えることができます。ミニマムディレイ・フィルターのほうが断然いいです。
さて、両機の聴き比べをしてみました。使ったイヤホンは、Etymotic Research ER-4S改。このイヤホンはインピーダンスが100Ωもあるので、普通のポータブル機器ではボリュームを最大にしてもまだ音量が足りないくらいですが、さすがに両機は余裕でこれを鳴らします。
最初のソースは、Sheffield LABのXLO Test & Burn-in CDに入っているMichael Ruffの”Poor Boy”という曲です。CDの説明書を読むと、この曲は真空管マイク+真空管プリアンプ+アンペックスの1/2インチレコーダーという組み合わせで録音されてたそうです。ゆったりとした柔らかい雰囲気の曲です。
第一印象は、D5 Hjの音がきらびやかに味付けされているように感じるのに対して、HP-P1の音は原音に忠実なそのままの音という感じです。よく聴くと、HP-P1はボーカルやトロンボーンの音の質感が肌理細かくて暖かみを感じるのに対し、D5 Hjの音には少しざらつき感があります。
次は、Dave GrusinのDiscovered Again! Plus!のなかの一曲”Keep Your Eye On The Sparrow”を聴き比べました。このアルバムはもともとはダイレクトカッティング(direct-to-disc)で制作されたLPレコードでした。つまり演奏をいきなり原盤(ラッカー盤)にカッティングするもので、演奏ミスが許されない一発録りです。原盤の寿命が早く尽きてしまったため、現在はたいへんなコレクターズアイテムになっているようです。当然、CDのほうは録音された音源によるものでダイレクトレコーディングではないですが、それでもSheffieldらしい高音質に仕上がっています。
聴き比べる前は、こういうメリハリのあるソースはD5 Hjのほうが得意そうな気がしていたが、実際には、HP-P1のほうが各楽器の存在感が格段に高く、音場の奥行き感や各楽器の距離感もしっかり把握できます。正確で妥協がないにも関わらず、音の肌触りがいいので聴きやすいのがHP-P1の特徴だと思います。