会社・各種団体・行政機関など、現在活動している組織のほとんどは、基本的に「伽藍方式」の組織です。「伽藍方式」は、「バザール方式」に対するものとして、米国のプログラマーEric Raymondが書いた「The Cathedral and the Bazaar(伽藍とバザール)」という論文のなかで使われている言葉ですが、上位者から下位者へのピラミッド型の指揮命令系統によって組織を運営する方式です。
この方式は、もともとは、戦争の指揮官が自分の軍隊を思うように動かすために生み出されたものです。したがって次のような特徴を持っています。
- 戦っている相手に勝つことが最終目的である。
- 勝つために、相手を出し抜く戦略を駆使する。
- 組織の構成員は、「人」ではなく、戦うための「駒」として扱われる。
「伽藍方式」のこのような特徴から当然の帰結として出てくる企業の目的は、競合他社に打ち勝つことであり、市場を制覇し、売上高や利益で世界一になることです。伽藍方式の組織は戦うための組織であり、企業に代表される組織はそのDNAを色濃く引き継いでいます。
しかし、その一方で、まったく違う考え方もあります。「マネジメントの発明者」と呼ばれるドラッカーは、企業の目的は「顧客の創造」だと主張しています。「マーケティング」と「イノベーション」によって、顧客自身も気づいていないニーズを製品やサービスとして具体化し、新しい市場を生み出して顧客を創造するのが企業の目的です。私は、こういった目的を実現する過程において、「伽藍方式」のDNAが邪魔をすることが多いと感じています。
企業に限らず未来的な組織は、戦いのための「伽藍方式」ではなく、みんなで寄ってたかって新しいものを作っていく「バザール方式」ではないかと考えています。
コメント