一国の経済の状況を判断する指標として、GDP(国内総生産)、特に実質GDPの伸び率がもっぱら使われています。GDPとは、簡単に言ってしまえば、一定期間に国内で生み出された付加価値の総額で、それから物価変動の影響を取り除いたのが実質GDPです(物価が倍になれば名目GDPは倍になりますが、実質GDPは変わりません)。
実質GDPの値が昨年よりも増えたということは、量的にそれだけ経済活動が活発に行われたと言えますが、国が繁栄しているかという判断は、もっと多くの指標を総合的に分析しなければできないと思います。にもかかわらず、実質GDPの伸び率だけがすべてを物語っているかのように取り扱われ、それによって国の政策に関わるさまざまな判断が下されていることに強い違和感を感じます。
一方、ブータンでは、GNH(国民総幸福量)という指標が使われています。次の9つに関する72項目について、一人あたり5時間にも及ぶ聞き取り調査によって、幸福の亮が算出されるそうです。
- 心理的幸福
- 健康
- 教育
- 文化
- 環境
- コミュニティー
- 良い統治
- 生活水準
- 自分の時間の使い方
この指標や算定方法がベストというわけではないですが、少なくとも多様な価値判断を数値化しようとしている点は、量的基準一本槍の方法よりもはるかに優れていると思います。日本も、実質GDPに代わる質的な指標を採用したほうがいいと思います。
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