全労済ホール/スペース・ゼロで「谷山浩子・猫森集会2015」が行われています。「猫森集会」は、その前身の「101人コンサート」からの流れを汲む恒例のイベントで、毎回多彩なゲストを迎えて行われます。今年の内容は、【Aプログラム】ゲスト:太田裕美 ~16歳と17歳だったよね。~、【Bプログラム】ゲスト:豊崎愛生 ~何かふわふわしたものが空をとんでくる~、岩男潤子 ~潤子と浩子の恩返しピヨ!~、【Cプログラム】 ゲスト:小室等 ~谷山浩子のライブの師匠降臨!~、【Dプログラム】 ゲスト:山口とも ~オールリクエスト・これがライブだ!~。私は、小室等さんがゲストの【Cプログラム】に行ってきました。
1曲目の「ねこの森には帰れない」は、谷山さんが17歳のときに作った曲。実はこの曲にも、ゲストの小室等さんに関係するエピソードがあることがわかりました。当時、谷山さんは小室さんのことが大好きで追っかけをやっていたそうです。そして、生まれたばかりの白い子猫に「ゆい」という名前をつけました。そう、小室さんの娘さんと同じ名前です。
『前半の大きな山は、4曲目の「Pussle」と5曲目の「無限マトリョーシカ」』と話す谷山さん。「Pussle」は「てんかすトリオ」のために谷山さんが作詞した曲で、「無限マトリョーシカ」は上坂すみれさんのために谷山さんが作詞した曲(いずれも作曲は別の人なのです)。「無限マトリョーシカ」はオリジナルのテンポ(BPM190?)より遅くしているそうですが、それでもまだまだテンポが速くて、遅れないようにとても緊張するそうです。
そして小室さんの曲「へのへのものじの赤ちゃん」を谷山さんが歌った後に、小室さんが登場しました。小室さんの1曲目は、「今日は雨だから」という理由で、急遽「雨が空から降れば」に差し替えられました。谷山さんはピアノでサポート。とても情緒のある「雨が空から降れば」になりました。
谷山さんは子供の頃に鉄腕アトムの大ファンだったそうですが、谷山さんが「本日最大の山場」と表現したのが8曲目の「鉄腕アトム主題歌」です。まず、谷川俊太郎さんの詩「百三歳になったアトム」を小室さんが朗読し、そして、谷川俊太郎さんの長男で音楽家の谷川賢作さんのアレンジによる「鉄腕アトム主題歌」の演奏が始まりました。一瞬「あれ、音が外れているじゃないか」と思うくらいに繊細でミステリアスなアレンジです。「ハーフ・ディミニッシュ」という聞いたこともない特殊なコードが使われているそうで、ピアノを弾く谷山さんは相当緊張していましたが、さすが小室さん。すばらしい表現力で歌いきりました。この演奏を聴けただけでも、ライブに来た価値があったと思いました。
10曲目以降は、小室さんのギターのサポートで谷山さんが歌いました。小室さんは冗談半分に「人の伴奏をするときは、間違ってはいけないと気を遣ってとても疲れる」と言っていました。独特の世界観に満ちた谷山ワールド全開の後半も、小室さんのギターによって、いつもとはまた少し違った味わいになりました。
個人的には、寝てしまいそうになる「カタツムリを追いかけて」と、逆にワクワクした気持ちになる「FINLAND」が好きです。ラストの「終電座」はライブでめったに歌わない曲だそうです。アンコールの「ひとりでお帰り」は、恥ずかしそうに照れながら、ステージのセンターにマイクを持って立って歌いました。
【セットリスト】
1)ねこの森には帰れない
2)空からマリカが
3)よその子
4)Pussle
5)無限マトリョーシカ
6)へのへのものじの赤ちゃん
<小室等登場>
7)雨が空から降れば
8)百三歳になったアトム(朗読)〜鉄腕アトム主題歌
9)夏が終わる
10)片恋の唄
11)カタツムリを追いかけて
12)三日月の女神
13)神様
14)きみのそばにいる
15)FINLAND
16)終電座
アンコール)ひとりでお帰り
サポート:石井AQ
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