(その1)より続く。
国立音楽院の地下1階のパラダイスホールでは、13:00からオープンマイクが行われました。
20名以上の人がステージに立ちました。「やなファミ3姉妹」も参加して、やなわらばーの「いちごいちえ」を歌いました。
そして18:30、いよいよスペシャルライブの開演です。司会はラジオパーソナリティのわたなべヨシコさん。
<オープニングアクト>
■ミッキー
落葉新橋店の店長ミッキー(田辺芳子)さんが4月13日にCDデビューします。収録曲「蘇る人」を情感たっぷりに歌い、オープニングアクトを務めました。
【セットリスト】
(1)蘇る人々
■やなわらばー
2人は「有料の箱物のライブでは毎回違う新曲を披露します」と宣言していますが、今回は「青い春」という曲を歌いました。やなわらばーの視点で「フォーソングとは何か」を考えて作った曲だそうです。自らのライブの後に各ゲストとのセッションが控えているので、二人はとても緊張しているようでした。でも、さすがはやなわらばー。会場中に美しいハーモニーが響き渡りました。司会のわたなべさんも感動していました。
【セットリスト】
(1)渋谷川
(2)空をこえて 海をこえて
(3)青い春(新曲)
(4)ゆくい
【サポート】
キーボード:斉藤哲也
ギター:森正明
■青木まり子
青木まり子さんは1971年にフォークデュオ「ジャネッツ」としてデビューしました。デビュー曲は「♪恋の汽車ポッポ♪」。「ジャネッツ」解散後は、再結成された「シモンズ」のメンバーとして、さらに2000年からはこれも再結成された「五つの赤い風船」のメインボーカルとして活躍しています。1曲目はやなわらばーもカバーしているシモンズの名曲「恋人もいないのに」を3人で歌いました。2曲目の「遠い世界に」は、青木さんの声がこの曲によく合っていて、西岡たかしさんが再結成メンバーに青木さんを選んだ理由がよく分かるような気がしました。3曲目の「オレンジの環状線」は伊勢正三さんの作詞作曲で、いかにも伊勢さんらしい洗練された曲。4曲目の「ふるさとはアジア」は、メッセージ性の強いスケールの大きな曲でした。
【セットリスト】
(1)恋人もいないのに(やなわらばーとセッション)
(2)遠い世界に
(3)オレンジの環状線
(4)ふるさとはアジア
【サポート】
キーボード:斉藤哲也
ギター:森正明
■ビリケン
ヴォーカル&アコースティックギターのビリーさんと、ラップのケンさんの2人によるユニットです。「続やなわらばーのやらねばなー」にゲスト出演していて、やなわらばーとはとても仲がいいです。とにかくビリーさんの声が大きくてよく響き、パラダイスホールくらいの広さの会場ならアンプラグドでも大丈夫ではないかと思うほどです。しかも表現力があります。その歌声とケンさんのラップがうまく融合してとてもいい感じです。4曲目「いちご白書をもう一度」をやなわらばーとともに歌いました。
【セットリスト】
(1)なごり雪
(2)花ことば
(3)ビリケン音頭
(4)いちご白書をもう一度(やなわらばーとセッション)
<スペシャルゲスト>
■富澤一誠
富澤さんはフォークソングの歴史に詳しい音楽評論家で、以前、富澤さんのラジオ番組にやなわらばーがゲスト出演しました。「落葉」にもいっしょに行ったことがあるそうです。やなわらばーとわたなべヨシコさんが富澤一誠さんにいろいろ質問するような形で進行しました。富澤さんは大学在学中に吉田拓郎の「今日までそして明日から」を聴いて、「これは自分のことを歌っている」と思って大学をやめたそうです。その後、歌手を目指しましたが、これも途中で断念しました。そんな時に「新譜ジャーナル」を読んで「自分ならもっといい記事が書ける」思ったので、直接編集長に手紙を書いたそうです。返信のハガキが来て、会社に行くと採用になったそうです。
【富澤】
フォークソングは何か?ということですが、聴いていいと思った曲=フォークソングです。自分の言いたいことを、自分の曲で、自分の肉声で、ギターを弾いて歌う、それがフォークソングです。
【東里】
生活のなかで誰でもあることを歌にしていきたいです。
【富澤】
小室等さんは70歳くらいだと思いますが(後で小室さん本人が今年73歳になりますと訂正)、現役で頑張っている。その姿を見た人が「自分も頑張れる」と思う。だから、小室さんはその存在自体がメッセージなのです。
【富澤】
ここはフォーライフ・レコードの本社社屋だった建物です。フォーライフ・レコードは「アーティストの、アーティストによる、アーティストのためのレコード会社」として設立されました。この「聖地」とも言える場所で「フォークソングの日」のイベントを行うことはとても意義があることです。
■小室等
小室さんのライブを聴くのは、たしか「江東フォークフェスティバル2015」、「谷山浩子・猫森集会2015(ゲスト出演)」に続いて今回が3回目だと思います。それと小室さんのラジオ番組『MUSIC BIRD「アフタヌーンパラダイス」』の公開放送でやなわらばーといっしょに沖縄民謡の「芭蕉布」を歌ったのを聴きした。やなわらばーは「ぜひ『雨が空から降れば』を一緒に歌いたい」という願いを持っていて、それが今回実現しました。
小室さんはステージに立つと、まずフォークソングの歴史について話し始めました。「アメリカのフォークソングのコピーという形で日本にフォークソングが入ってきました。フォークソングには、トラディショナルフォーク、オーセンティックフォーク、モダンフォークなどのジャンルがありますが、そのなかにプロテストソングというジャンルがあります。今の時代の流れを見ると、このような曲がまた意味を持ってきたと感じています。このように語ってから、「寒い冬」「死んだ男の残したものは」「道」を歌いました。特に「道」は、黒田三郎さんの「道は一つしかないと思っていたが(思わされていたが)、たくさんの道があることに気づいた」という内容の詩に小室さんが曲を付けたもので、とてもインパクトがありました。
小室さんの歌声も、ギタープレイも、とても繊細かつ緻密で、凝縮された宝石のようでした。最後にやなわらばーと一緒に歌った「雨が空から降れば」は、ほんとうに「しょうがない」という感じが強く滲み出ていました。
【セットリスト】
(1)寒い冬
(2)死んだ男の残したものは
(3)道
(4)雨が空から降れば(やなわらばーとセッション)
■なぎら健壱
以前にも同じことを書きましたが、私が初めて聴いたなぎらさんの曲が1973年にヒットした「悲惨な戦い」だったので、このようなコミックソングを歌う人だと長い間思い込んでいて、真面目な曲を歌っていること、しかも卓越したギターテクニックを持っているということを知ったのはずっと後になってからでした。今回のライブでも躍動感のあるギタープレイを見せてくれました。やなわらばーからのリクエストでセッションをした「ブラブラ節」については、「なんでこの曲を?」としきりに首を傾げていました。
【セットリスト】
(1)銀座カンカン娘
(2)ブラブラ節(やなわらばーとセッション)
(3)スカラーソング
(4)労務者とは云え
(5)昭和の銀次
【サポート】
ギター:松本典明
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