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ドラッカー学会 総会と「ネクスト・ソサエティ フォーラム2017」

5月13日(土)に早稲田大学国際会議場 井深大記念ホールで、ドラッカー学会の総会と「ネクスト・ソサエティ フォーラム2017」が行われました。私は、研究会や読書会などの活動には何も参加しておらず、総会やフォーラムに参加するだけの幽霊会員ですが、それでも参加するたびに新たな知的刺激が得られています。

ネクスト・ソサエティ フォーラム2017

【午前の部】
各教室に分かれて、テーマ別に各教室に分かれてセッションが行われました。私は、第4セッションに参加しました。

◇第1セッション「社会生態学とは何か--われわれの働く環境、生きる環境を知る」
ファシリテーター:佐藤等(佐藤等公認会計士事務所、学会理事)

◇第2セッション「ドラッカーの小さな学校--MSCの実践に向けて」
ファシリテーター:森岡謙仁(経営・ものづくり・ITアドバイザー、アーステミア代表取締役、学会理事)
登壇者:藤島秀記(クリエイティブパートナーズ代表取締役、学会理事)

◇第3セッション「マネジメントの基礎をつくる5つの質問--強みを生かす問い」
ファシリテーター:国永秀男(ポートエム代表取締役、「ドラッカー塾」専任講師)

◇第4セッション「『非営利組織の経営』を読む--「できること」は何か」
ファシリテーター:鬼塚裕司(壱岐のこころ 理事・施設長、タネマキスト、長崎大会実行委員長)

◇第5セッション「女性が読む『経営者の条件』--強みを生かす究極の方法」
ファシリテーター:吉田麻子(カラーディア代表、作家)

◇第6セッション「チャート写経勉強法でドラッカーを学ぶ--私の強み紹介」
ファシリテーター:安藤芳樹(広告プロデューサー)

 


【午後の部】

◇1.午前中のセッションの結果の共有

◇2.[講演]「われわれはいかに働きどう生きるべきか--ささやかな世界で強みを生かす」
登壇者:上田惇生(ものつくり大学名誉教、学会学術顧問)

久しぶりに上田先生にお会いできるのを楽しみにしていたのですが、体調不良のため欠席で、井坂さんが代わりに上田先生のレジメを読みました。上田先生らしい丁寧なレジメでした。直接お話は聞けなかったけれど、このレジメをもらえただけでも来てよかったと思いました。

「1冊読むなら『現代の経営』」 ー 自分が学生時代に初めて読んだのが『現代の経営』だったので、ちょっとうれしい気持ちになりました。

「今 ドラッカーならば何というか」→「絶対の答えはない 人を大事にすることが基本」。社会観については「社会が社会として機能するためには、社会を構成する人間に役割と位置づけが付与され、かつそこにある権力に正統性がなければならない」 ー これがドラッカーの原点であり、いちばん強い思いだと思います。ドラッカーの言葉は、ど真ん中のストレートのように物事の本質をついていて、それゆえに言葉にリアリティがあります。

◇3.[対談]「『最高の授業』を世界の果てまで届けよう--強みを発揮するフィールドの見つけ方」 
登壇者:税所篤快(NPO法人 E-education代表)×友成真一(早稲田大学大学院教授)

世界中を駆け巡る税所篤快さんの行動力にはただただ驚くばかりでした。でも、危険な目に会わないように気をつけてほしいと思います。

◇4.[研究会事例報告]  ドラッカー「マネジメント」研究会
[紹介]ドラッカー「マネジメント」研究会~一人一人の強み活かす環境づくり~
の紹介

[発表-1]「よりよい内部監査のためのMSC活用」
-- 従業員の強みを生かし、企業の成果に結集させる“しくみづくり”

[発表-2]MSC(マネジメントスコアカード)によるアプリ開発
--新商品開発にMSCを活用する

◇5.[対談]「奇跡を起こす読書会--強みを見出し、強みを使いこなす」
登壇者:佐藤等(佐藤等公認会計士事務所、学会理事)×吉田麻子(カラーディア代表、作家)

ここから撮影可となりました。佐藤等さんが中心となって進めている「実践するマネジメント読書会」での様子を小説にした「人生を変えるドラッカー」を吉田麻子さんが昨年12月に出版しました。今回の対談では、実際の読書会の様子や小説の内容が詳しく紹介されました。途中から、元タカラジェンヌで現在は講師として活躍している堀内明日香さんと札幌市交通局の田畑祐司さん(2人とも読書会のメンバー)も対談に加わりました。自分も読書会のどれかに参加したい気持ちはあるのですが、時間的にちょっと難しいです。

◇6.[対談]「持続可能な資本主義 --いかにして強みを公益となすか」
登壇者:新井和宏(鎌倉投信 ファンドマネージャー)×北村和敏(三方よし研究家、学会企画編集委員)

新井和宏さんは以前は外資系の投資ファンドで数字だけを見て投資先を決めていたのですが、現在は180度方法を変え、経営者の本心を見極め、真剣に社会に役立とうと考えている会社に投資をしているとのことです。北村和敏さんが提唱する「三方よし」は、元々は近江商人の心得で、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三つの「よし」です。そして新井さんはさらに「よし」を増やして「八方よし」を提唱しています。八方とは、「社員」「取引先・債権者」「株主」「顧客」「地域」「社会」「国」「経営者」です。『なぜ、「経営者」までも「八方」の中に入っているのか?』という質問に対して、新井さんは「会社は公器であって、会社が誰かの持ち物である発想がいけない。経営者は機能である。会社が誰かの持ち物でなくなれば、最後に残るのは理念だけ』と回答しました。まったく、その通りだと思います。


◇7.[全体総括]「エッセンシャルマネジメントとしてのドラッカー思想の再生 --なぜ、ふたたびドラッカーなのか?」

登壇者:西條剛央(早稲田大学大学院(MBA)客員准教授)/聞き手・井坂康志(ものつくり大学特別客員教授、学会理事)

西條剛央さんは、さまざまな理論体系が生み出す信念同士の対立を克服するメタ理論としての「構造構成主義」を体系化した人で、それだけでなく、数多くのボランティアプロジェクトを立ち上げている実践家でもあります。今回は、井坂康志さんがとても巧みに西條さんの思いを聞き出してくれました。元々は正しい理念に基づいていても、他の要因(例えばお金など)によって「人間はすぐに本質を見失ってしまう」。それゆえに「すべてにあてはまる共通の本質」を常に問い直す必要がある。西條さんの熱い思いが伝わってきました。あと、もう一つ、非常に印象に残ったのは、「人間の命は有限で、たとえ自分のためにお金を貯めたとしても、死んでしまえばおしまいである。それだったら、自分の時間を公共のために使ったほうが得である」という箇所でした。これは、ドラッカーの有名な言葉「何によって憶えられたいか」にも関係する深い意味を含んでいると感じました。自分もできることならば何か公共のために貢献し、それによって憶えられたいと思います。

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