3ヶ月に1回のペースで東中野のじみへんで行われるいわさききょうこさんの「弾き語りライブ」では、「もっとも自由でパーソナルで弾き語りないわさききょうこ」を聴くことができます。1曲歌い終わったら、その時の気分で次に歌う曲を決めるといったゆるい進行で、時にはリクエストにも応えてくれます。また、新しいことにチャレンジする場でもあり、私の記憶が確かならば、ニューアルバム「道の鼓動」収録曲のうち2曲を、まだ仮題の段階で初披露したのもこのじみへんでのライブでした(→こちら)。
この日のセットリストは、「道の鼓動」の収録曲や、普段ライブではあまり歌わないオリジナル曲や、私の好きなフォークソングのカバー曲がうまく織り交ぜられていて、あらかじめ決めていなかったとは思えない絶妙なセットリストでした。
ニューアルバム「道の鼓動」の収録曲からの選曲は、「明日の話をしたくなる」「キジトラの猫」「セブンティーン」「君住む街へ 〜Tadami Line〜」の4曲でした。「明日の話をしたくなる」は、アルバムの1曲目であり、アルバムを貫くテーマが込められている曲だと思います。「キジトラの猫」に関しては、この曲が作られたおもしろい経緯を話してくれました。ある朝、猫の夢を見たので、その夢の内容を忘れてしまわないようにFacebookに書いてアップしたそうです。アップした後、夢のことはすっかり忘れてしまっていたのですが、Facebookの記事を見たノグチアツシさんがこれに曲をつけてくれたのだそうです。曲をもらった時に、なんかどこかで見たことがある詩だなあと思ったそうです(笑)。ノグチアツシさんは「安木のオジ」として活躍する一方で、新生「猫」のメンバーになり、現在は常富喜雄さんと西日本へツアー中です。
普段あまりライブでは歌わない曲もたくさん歌ってくれました、「きつねうどんとたぬきうどんの歌」はいわさきさん自身のことを歌ったとてもコミカルな曲で、私が聴くのはたぶんこれが3回目だと思います。「黄昏ムーンライト」も久々に聴く曲で、新宿の街、その中でも特に紀伊國屋書店が舞台となっている曲です。とても都会的で洗練された曲だと思います。「いつもと同じ」は、必ずライブで歌う曲でしたが、「道の鼓動」の収録曲を歌うようになってからはちょっとご無沙汰していました。数ヶ月ぶりに聴けて良かったです。
この日は、フォークソングのカバー曲をたくさん歌ってくれました。まずは、私がいわさきさんのことを知るきっかけとなった加川良さんの「教訓1」。ライブの前日の4月5日は加川良さんの命日でした。吉田拓郎さんの「今日までそして明日から」を歌った後に、2010年頃の話をしてくれました。当時のいわさきさんは、「KinKi Kids」の番組で拓郎さんを初めて見たけれど、拓郎さんのことはほとんど何も知らなかったそうです。でも、甲州街道を歩きながら拓郎さんの曲を聴いたら強い衝撃を受けたそうです。実は、当時は「猫」のこともまったく知らず、「とてもうまいネーミングのオヤジバンドかな?」と思ったそうです。高田渡さんの「夕暮れ」は、「自分の場所から はみだしてしまった 多くのひとびとを」という歌詞が今の自分の姿に重なるような気がして、とても好きな曲です。岡林信康さんの「君に捧げるラブ・ソング」は、岡林さんの曲のなかで私がいちばん好きな曲です。岡林さんは周りが勝手に「フォークの神様」として神格化してしまったけれど、それにいちばん戸惑っていたのは岡林さん本人だったのではないかと感じています。この曲は、親交があったカメラマン川仁忍さんがクモ膜下出血で倒れた時の心境を歌ったものです。独特の高い声で、そっと語りかけるように歌うのが心に響きます。いわさきさんはこの名曲をいわさきさん流に昇華して歌っていたと思います。
【セットリスト】
- 教訓1(加川良カバー)
- 寒い冬(小室等カバー)
- いつもと同じ
- 明日の話をしたくなる【ニューアルバム「道の鼓動」より】
- 松屋の歌
- キジトラの猫【ニューアルバム「道の鼓動」より】
- きつねうどんとたぬきうどんの歌
- セブンティーン【ニューアルバム「道の鼓動」より】
- 今日までそして明日から(吉田拓郎カバー)
- 夕暮れ(高田渡カバー)
- 黄昏ムーンライト
- 静かな音楽になった(金森幸介カバー)
- 君住む街へ 〜Tadami Line〜【ニューアルバム「道の鼓動」より】
- 君に捧げるラブ・ソング(岡林信康カバー)
- 春夏秋冬(泉谷しげるカバー)
- 嬉しサヨナラ
- アンダンテ
- (アンコール1)武者震い
- (アンコール2)花嫁(はしだのりひことクライマックスカバー)
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