東村山市青葉町にある「国立療養所多磨全生園」で七夕の7月7日に行われた「まちジャム in 全生園 the third」に行ってきました。「まちジャム」は、「音楽でまちと人をつなぐ!」をコンセプトとした東村山市の「市内同時多発ライブイベント」です。全生園では、初回の2016年が園内の「お食事処なごみ」で(→こちら)、2回目からは400名以上を収容できる「コミュニティセンター」で行われています。
全生園は、全国に13ある国立ハンセン病療養所の一つで、医療機関と元ハンセン病患者の入所者が居住するコミュニティーで構成されています。病気に対する誤った理解や、それに基づいた法律などによって、ハンセン病患者は長らく不当な差別を受けてきました。病気の概要や歴史については、国立ハンセン病資料館のサイトにある(→このQ&A)がわかりやすいです。また、東村山市は、全生園の豊かな緑と人権の歴史を長く後世に伝えるため、2009年に「いのちとこころの人権の森宣言」を行いました。
全生園正門。自由に中に入って行けます。園内には武蔵野の雑木林が今も残っていて、春には桜並木が綺麗です。
1.全生園の「どんぐり会」と「多磨カラオケクラブ」の8名の歌
予想していたりもはるかにレベルが高くてびっくりしました。
2.栗本詠津子と亀谷長希(みんなで歌おう)
栗本詠津子さんは国立音楽大学声楽科卒業で、元劇団四季団員。亀谷長希さんは沖縄出身で、バンド「リトルオキナワ」として活動しています。この2人のユニットは、全生園内の「お食事処なごみ」で定期的にコンサートを行なっています。また、セットリストのなかの「翼」と「小さな空」は、晩年に東村山市で暮らした作曲家・武満徹さんの曲です。
【セットリスト】
- 翼
- 小さな空
- ボラーレ(原曲:青く塗られた青の中で)
- ふるさと
- いのちの歌
3.おおたか静流
おおたか静流さんについては、実はあまりよく知りませんでしたが、とても個性的で実力のある人です。1990年頃にカセットテープAXIAのCMで「花」を歌っていた人だと分かって、なるほどと納得しました(なお、CMに登場した女性はおおたかさんではなく、モデルのIZUMIさんです)。NHK Eテレの「にほんごであそぼ」も、一度観てみたいと思いました。
【セットリスト】
- 赤とんぼ
- 林檎の木の下で
- リンゴの唄
- 大きな林檎の木の下で
- 月がとっても青いから
- でんでらりゅうば
- 七つの子
- つられてこんにちは(?)
- 花
4.中川五郎
「消印のない手紙」は、群馬県にあるハンセン病国立療養所栗生楽泉園に入所していた詩人・長峰利造さん(ペンネーム桜井哲夫さん)のとても切ない思いがこもった詩に、中川さんが曲をつけたものです。アルバム「どうぞ裸になって下さい」に収録されています。3曲目の「ピーター・ノーマンを知ってるかい?」を聴くのは今回が2回目ですが、20分近いこの曲を歌い切って、最後に高々とジャンプする体力には驚嘆させられます。
【セットリスト】
- あの子は山越え谷越えやってくる
- 消印のない手紙
- ピーター・ノーマンを知ってるかい?
5.小室等
7月7日は永六輔さんの命日でもあるので、1曲目は「上を向いて歩こう」でした。音響の調子がよくなかったためか、3曲目の「死んだ男の残したものは」ではステージから客席に降りて、ボーカルもギターもまったくのアンプラグドで歌いました。マイクを通さない小室さんの生の歌声を聴けたのは、とても貴重な体験でした。再びステージに戻って、4曲目からは「介護」と称して、こむろゆいさんも登場。ゆいさんが小室さんにペットボトルの水を手渡すシーンは、親子の愛を感じました。「真実・事実・現実 あることないこと」は、冤罪をテーマにしたドキュメンタリー映画「獄友」の主題歌で、このプロジェクトにはたくさんのミュージシャンが参加しています(中川五郎さんも参加)。とてもストレートで説得力のある歌詞です。
【セットリスト】
- 上を向いて歩こう
- 木を植える
- 死んだ男の残したものは
- 雨が空から降れば
- だれかが風の中で
- 真実・事実・現実 あることないこと
- (アンコール・全員で)旅立ちの歌
全生園内の案内図。
お食事処なごみのスタッフは、樹木希林さん主演の映画「あん」をきっかけにここで食堂の運営を始めました。著者・ドリアン助川さん命名の「旅する小豆たち」もあります。
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