京都伏見にある黄桜の伏水蔵に見学に行きました。以前は日本酒をよく飲みましたが、ついつい飲みすぎてしまうので、最近は自粛しています。
日本酒の醸造においては、デンプン質の糖化と糖分のアルコール発酵を同時に進行させる「並行複発酵」が最大の特徴で、これによって20度近い高いアルコール度数が得られます。その核心部分は、「一麹(いちこうじ)、二酛(にもと)、三造り(さんつくり)」と呼ばれています。以下に概略をまとめてみましたが、酒母造り以降は写真を撮り忘れました。すみません。
【精米】
山田錦などの酒造好適米を縦型精米機で精米して、蛋白質や脂肪を含んだ糠・胚芽・胚乳を取り除きます。吟醸酒においては精米歩合50%以下にまで精米します(大吟醸のなかには35%まで精米するものもあります)。精米後は、放冷→洗米→蒸米などの工程へと進みます。
【麹造り】
高温多湿の麹室の中で、蒸米に種麹(モヤシ)を振りかけて増殖させる工程です。「良い麹ができれば酒は七割できたも同然」と言われるほど重要な工程です。お米に種麹を振りかける作業を「種切り」と言います。
【酒母造り】
小さなタンクで酵母を増やす工程で、「酛立て」(もとだて)とも言います。蔵に住み着いた独自の酵母を使う場合もありますが、純粋培養されアンプルに入れられた「協会系酵母」を使うことが多いです。また、雑菌の繁殖を抑える乳酸を加える方法によって、空気中から乳酸菌を取り込む伝統的な「生酛系」と、人工的に乳酸を加える近代的な「速醸系」に大別されます。さらに「生酛系」は、「山卸」という工程の有無によって「生酛」と「山廃酛」に分かれます。(詳細は→こちら)。これらの工程の違いによって、日本酒の味の傾向が変わってきます。
【醪造り】
大きなタンクに麹・酒母・蒸米・水を3回に分けて投入し、醪を造って発酵させる工程で、「一麹(いちこうじ)、二酛(にもと)、三造り(さんつくり)」の「三造り」の部分です。麹によって米のデンプンが糖に変わり、同時に酵母によって糖が分解されてアルコールになります(並行複発酵)。杜氏は、醪の泡の状態を見て、発酵状態を把握し、管理します。なお「純米酒」と呼ばれるものを除いて、この工程の最後に醸造アルコールが添加されます。「添加」というと工業的で悪いイメージがしますが、江戸時代から続く伝統的な技術で、防腐・香味の調整・味の軽快化などの効果があります。
【上槽】
醪から生酒を搾る工程です。普通酒などは醪自動圧搾機や遠心分離機などの機械で搾りますが、吟醸酒は槽搾り(ふねしぼり)、ヤブタ搾り、袋吊りなどの方法で搾ります。搾った生酒は、濾過、火入れ・貯蔵・熟成などの工程を経て出荷されます。
昔はよく「金賞受賞酒」(「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞したお酒と同じタンクのお酒)を買ってきて飲んだものですが、これが金賞の賞状です。杜氏や蔵人は、これをもらうために精魂を傾けます。
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