1997年頃に神奈川大学の研究室で、網野善彦さんから『日本社会の歴史(上・中・下)』について1時間半くらいお話をお伺いする機会があり、支配者側からではなく、庶民の側から見た歴史観に深い感銘を受けました。ただ、網野さんの名著『無縁・公界・楽』については、かなり前に文庫版を買っていたのだけど、日常に追われてずっと「積読」になっていました。ようやく最近Kindle版を買ってから、通勤電車の中で少しずつ読み始めました。
この本の中心概念である「無縁」は、今の時代に一般的に使われている「縁がない」という意味ではなく、もっと能動的に社会や権力の支配の及ばない場に向かうことを意味します。中世の日本の職人・芸能民・勧進聖などの間には、このような自由で平和な空間があったと網野さんは主張しています。
昨年還暦を迎えた自分にとって、「無縁」という生き方がとても魅力的に感じられますが、詳細はもう少し本を読み進んでから書きます。
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