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Consideration

王は最大のフリーライダー?

新宿の紀伊國屋書店で進化関係の本棚を眺めていたら、クリストファー・ボームの「モラルの起源」が目に留まりました。長谷川眞理子さんによる「解説」が巻末にあったので読んでみると、本書は「支配者=フリーライダー」と論じていることがわかりました。今まで自分は、支配者階層の特権を「フリーライダー」とは別のロジックで捉えていたので、この論点は新鮮な驚きでした。

進化の理論における「フリーライダー」とは、自分は利他的な貢献をしていないのにもかかわらずその恩恵にあずかる人たち、つまりただ乗りする裏切り者です。ただ乗りした方が生存に有利(適応的)なので、淘汰圧がかかるとフリーライダーがどんどん増えて、集団から利他的な行動が消滅してしまいます。これを防ぐために、ヒトは集団内のただ乗り行為に対して非常に敏感に反応するように進化してきました。フリーライダーに罰を与えることも有効です。

言われてみれば、たしかに王や支配者階級は国民の生産物に寄生するフリーライダーですが、1万年ぐらい前からそれがまかり通っています。このことを進化の理論のなかでどのように説明できるのか?ぜひ詳しく知りたいと思います。その場で買えばよかったのですが、家に帰ってから、Amazonで中古本を注文しました。届くのが楽しみです。

【追記】書評を読むと、本書は相変わらず進化を群淘汰で説明していたり、最近の研究成果から見るとすでに古くなってしまった知見が含まれているらしいので、その点は注意して読もうと思います。

『モラルの起源』

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