ちょっと備忘録的にまとめてみました。
ヒトは、他の生物と同様に、EEA(進化適応環境)に適応するように進化してきました。しかし、その後環境が変わったりして、当初は適応だった(つまり生存と繁殖に有利だった)のに、途中から不適応に変わったり、副作用の方が大きくなってしまったものがあります。たとえば、宗教を信仰する心、自尊心、フリーライダーに目を光らせる行動などです。
1.宗教を信仰する心
【適応】
- 死の恐怖を緩和してくれる
- 不可思議な自然現象に何らかの意味を与えてくれる
- 大きな集団のなかで生きるストレスを緩和してくれる
- 同じ宗教を信じる集団の結束を高める(特に一神教の場合)
【不適応または副作用】
- 大きな負担を強いる教義に従わなければならない(昔は人身御供も行われた)
- 儀式を執り行うための大規模な神殿や王の墓などの造営が必要
- 教義によって女性が差別され権利が侵害される場合が多い
- 異教徒に対して排他的となり、分断と対立が生まれる
- 為政者に利用されると大規模な戦争を引き起こす
2.自尊心
【適応】
- 自分が他者からどれくらい受け入れられているかを測る計測器として機能する(狩猟採集生活をしていた太古には、集団から排除されることは死を意味した)
- 自分の所属している集団社会に思想的・宗教的・文化的価値を見出し、それと一体化することで、たとえ自分が死んでも、自分の所属している集団は永遠に存続すると感じることが死の恐怖を緩和してくれる
【不適応または副作用】
- 自尊心の高い人は、困難や失敗などで自尊心に脅威を感じると攻撃的になる
- 自尊心を守るために、チャレンジを避け、簡単に成功する課題ばかりを選ぶようになる
- 自ら失敗の種をまいておくことで、失敗は自分の能力不足のせいではなく、別の要因によるものだという口実を作る(セルフ・ハンディキャッピング)
- 失敗を回避するためであれば、不正行為も行う
- それでも失敗をしてしまった時には、責任転嫁などの防衛的な反応をみせる
3.フリーライダーに目を光らせる行動
【適応】
- フリーライダー(対価を支払わず利益を得る 「ただ乗りする人」)が存在する状態で淘汰圧がかかると集団内がフリーライダーばかりになってしまうが、それを防いで、利他的な行動を進化させる
【不適応または副作用】
- 他人の行動をこと細かくチェックするようになり、フリーライダーだけでなく、自分や集団内の多数派と違う行動や考え方を排除する傾向が生まれる(イジメの引き金にもなる)
- 逆に他人の目を常に気にして、人とは違う行動を自粛するようになる
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